10月11日6時起床。
ホテルサボイのベッドは普通だけれど毛布が重かった。乾ききった室内では喉も鼻も渇く。
何回か夜中に目覚め薄めたコカ茶を飲み、トイレに行き、又眠り・・・そして目覚まし時計に起こされた。
舐めたマカが利いたのか、半量に減らして呑んだ胃腸薬が良かったのか、はたまた食べる酸素が良かったのか、とにかく昨日の疲労感は改善されていたしお腹も落ち着いてきた。
胃の中はきっと空っぽだから、消化のよいスープとジュースそして二種類のパンを取って席についた。朝食のパンが美味しい。
食後にロビーで酸素を少し吸入した。同行の皆さんも気に掛けてくれて薦めてくれたからだ。試しにどれどれって具合だ。私のほかにも調子の悪かった人もいて、やはり酸素を吸入した。他の方は頭痛が主だったようだった。動くのが辛くて昨日のクスコ市内の観光もせず、部屋に残っていた人もいたらしい。
そんな中で、元気な二人がいた。タバコは吸うし、お酒も呑む。ペルーではビールが美味しくて種類もあって、行った先でのご当地ビールを楽しんでいた。これには添乗員のお姉さんも驚き、「こんなに元気が良くて、ほとんど問題なく行動できるグループは初めてです。皆さん、助かります!」って。
ここクスコは標高3400m、富士山くらいの高地だから、高山病でダウンする人が出ても不思議なないのだけれど、全員揃ってマチュピチュに出発した。
バスに乗り15分位で高原列車の駅に着いた。ここクスコの駅は標高3800m。青い車両に黄色い線が入っている。古い列車だが悪くはない。6時40分に発車し、スイッチバック式に移動して行く。なにせ狭い所だからそうするしかない。ゆっくりと行ってはターンして昇っていく。

クスコの住宅建物はすべて茶色で統一されているのが良く分かる。
列車はやがて峠を越えた。すると景色は一変して緑の色が目につくようになってくる。
少しずつ高度が下がってくると気温も幾らか上がってくるし、湿度も増してくる。豊な収穫を予感させるような田畑が広がっている。
そこで”何でまたインカの人々はあんな乾いた高地に首都をつくったのだろうか?自然条件のよいあの山の西側にせず?”と、単純な疑問が湧く。クスコは盆地だから天然要塞といえる山に囲まれているし、そうなっている事で気温も高度の割には寒くはならない。作物は山を越えて運べばよいのか??色々調べていくとそう単純にこうか?とは言えなくなってくるのだが・・・。
列車が駅に止まると物売りがやってくる。人形や織物おやつなどをもっている。そこでチチャというジャイアントコーンを買う。2ソーレス。モチモチとした食感が餅のようで甘くはないが素朴な味で悪くはない。皆と分けつつ食べる。隣りの白人にも薦めたら男性は摘んでみたが、ご夫人はNo thanksだった。ちょっと癖になる感じ。こんなに食べられるなんて昨日の事が嘘のよう。
列車が進むにつれて、車窓からみえる景色もどんどんと変わって行く。気付くと温帯から亜熱帯地方独特の植物群がジャングルの蔓草ようにからみついたり、色鮮やかなストレチアのような花とかデイゴに似たような花が見える。鳥たちも大小さまざまに時に色鮮やかなのも見られた。名前を知っていたら尚楽しかったろうと思う。
11時20分、マチュピチュ駅に着いた。駅からは昔の引き込み線のレールが残り、その両側に露店がいっぱい並んでいる。そこを通り抜けバスで遺跡を目指す。その道もスイッチバックのようにギザギザに昇っていく。かなりのスピードで細い道を行く。スリル満点、景色満点!
眼下にウルバンバ川が見える。
アンデス文学の「深い川」を読んだせいか、チンチェーロとかアバンカイとかペルーの地名や川の名前、ケチュア語を聞いて懐かしい響きを感じる。
マチュピチュ遺跡の前でバスを降りる。雲行きがおかしくなってきた。今にも降りそうな空模様。
ここは標高2280mだからクスコに比べ呼吸はずっと楽で、湿気も緑も多い。でもやはり高地に違いはない、ゆっくり歩かないと息切れがする。そう、ゆっくりゆっくりと登っていくと目の前にワイナピチュの峰がそびえインカの遺跡マチュピチュが広がっていた。
薄っすらとベールを掛けられたように、霧にかすんでいる。雲の動きは思いのほか速く、白くなったり石積みや木々がはっきり見えたりと、その様子は変化を極め、幻想的な風景を醸し出していた。

ここマチュピチュ遺跡は広く5km2、約2000年前の建造説がある。自給自足ができるように段々畑もかなり広い面積を割いている。しかもサイフォンを利用した水道の設備もある。剃刀を通さないほどの石組みの技術はクスコもここも同じだが、高くそそり立つマチュピチュにどうやって石を積み上げていったのだろう。しかもこのような高度の土木技術がありながら、車輪という物を持っていなかったという。
彼らは生活の中にも潤いがあったとみえる。住宅の所々に花が植えられ、亜熱帯気候をも持ち合わせているらしく蘭の花も数種類見つけることが出来た。花壇として植えられた物もあった。忘れな草の水色は柵の上を線状に並び風に吹かれていた

神聖の広場まで上がってくる間に付近はすっかり雲に覆われ、雨は本降りになってきた。さっき撮った写真は貴重なものとなった。雨は強くなったり弱くなったりしていた。広い遺跡内を散策していると太陽の神殿横の広場の真ん中に一本の木があった。そこに寄りかかっている一人の女性がいた。赤いポンチョをまとってぼんやりとした様子は古代インカ空想の旅人のようであった。
ロマンの世界にいても腹の虫は元気で食料を催促してきた。出口に向かって歩いて行った。ふっと振り返ると、さーっと雲は流れ真っ白で見えなかったワイナピチュ周辺が現われ、シャッターチャンスが再来した。ラッキー!
さて、唯一のレストラン、サンクチュアリ・ロッジで食事だ~。ブッフェスタイルで品数も豊富。$20なり。野菜も肉も美味しかった。

雨が強くなってきて帰りのバスに乗るのに行列が長く出来ていた。やっとバスに乗り込み降りると、登る前から目をつけていた店に入りケーナとサンポーニャを買う。音とPeru、Machupichuと書かれていているのを確かめた。吹いてみるとすぐに息切れがした。売っているおじさんはリクエストに答えて気持良さそうに吹いてくれた。真似して又吹いてみる。やっぱり息切れがする。おじさんに笑われてしまった。そしておまけに小さなオカリナをくれた。
列車に乗り込むと揺られているうちに眠りについた。目覚める頃にはクスコに近く、すっかり暗くなって町の灯りがキラキラときれいに見えて来た。この列車はそう速くない。むしろ遅い。行ったり来たりで距離が出ない。クスコ駅の一つ手前の駅で降りホテルへと戻って行った。これで、1時間は短縮できる。
夕食はクスコ名産のキヌアのスープ、牛とトマト、玉葱の炒め物。バターライスとパン。美味しい美味しい。肉は柔らか味付けはさっぱり、ご飯はまあまあ、パンは大好き。
段々元気に上がり調子になってきた。