ヘルパーをしていて

ある日のこと、Bさん宅へ訪問した。
「今日は何で来たんだい?」
自転車である事を伝えると、デパートの折込広告を指差しながら
「魚と巻き寿し、さび抜きで買ってきておくれ。さび抜きだからね。」
そのデパートは歩きだとちょっと遠いし、車では駐車が厄介なのである。
さっさと用を済ませ帰ると、自宅はもぬけのカラになっている。
やられた!急いでセンターに連絡を入れつつ、付近を捜す。
すると、向こうから手押し車を押しながらトコトコと帰ってきた。
さて、貴女がヘルパーならどうしますか?

「あ~良かった!どちらにお出かけでしたか?」
「だってヘルパーさんが買い物に行ったから、その辺を散歩してすぐに帰って来たんだよ。もう帰って来たんかい。あれんまぁ早かった。帰る前に戻ってくるつもりだったのに。」

結果オーライですんだけれど、良くお願いをした。
「散歩するときには一緒に行くのが私の仕事ですから、是非その仕事を私にさせて下さいね。」
「分かったよ。一人で出ないよ。」
どこまでも、お口の達者なBさん。嫁さんの悪口ばかり聞かせられる、これじゃ嫁さんも大変なのがよく分かる。嫁さんはそれなりに一生懸命やっているのにそれが当たり前で、それ以上を望むし、されると余計な事をして!と又けなす。息子は
「まだ、生きてんかい。さっさと死じまえ。」ヘルパーの前でも平気でそう言う。
「そうなんだよ、まだお迎えが来ないんだよ。」
仲が良いのか悪いのか?
さっき買ってきた寿しを広げて「あんたも食べなよ。」
(勿論辞退をしていますよ。残りはラップしてね。)

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