シンポ「首都圏と東京湾の共存を考える」

世界の先進例に学ぶ国際シンポジウム「首都圏と東京湾の共存を考える」が東京海洋大学の楽水会館で行われた。
国際シンポジウム
「都市のウォーターフロント戦略の事例の紹介」、「ウォーターフロントデザインに対する受賞プロジェクトの紹介」、そして最も関心のあった、「何故水質改善がウォーターフロント開発のために必要なのか」、という3人のパネリストの講演が行われ、「首都圏と東京湾の共存を考える」という主題でパネルディスカッションが行われた。
首都圏に住んでいる者として、漠然とした興味で参加したのだが、正直いってこのシンポの意図が私なりによく理解できていなかった。
それは東京湾の水環境を保全する立場と港湾地域を開発しようとする立場は相反するものといった見方ではなく、両者は互いに協調をして、よりよい環境改善を図れる様に共存をはかっていくべきではないのか?と、いう方向を探るための一つの講演会であった、と理解した。

 海外のウォーターフロント戦略の事例では上手くいったところの紹介で、荒れていた所にもすっかり緑多い公園になったり、市民が憩えるスペースに改善され豊かな生活を提供されていた。
その中の一つにバンクーバーのスタンレーパークやイングリッシュベイ、グランビル・アイランドなど懐かしい風景に思わずニンマリした。
  東京湾の現状はどうなっているのか?水質が良くなったと言うけれど本当にそうなのか?石丸教授によると、No.
通年にわたって赤潮は発生するし貧酸素による青潮も起きている。季節や風、降雨などの影響も当然あり、その状態は一定ではない。
東京湾でのウォーターフロントは工業施設に占領されており、ごく一部でしか都民や湾に面している市民があのバンクーバーの様に、水辺で遊んだり散歩やスケートを出来る所は非常に少ない。
時にお台場公園へのオイルボールの漂着があったりと、人工海浜で泳ぐ事も出来ない。大腸菌の数は半端じゃない。
でも、これではいけない、人だけでなく魚やプランクトンはじめ多くの生物が当たり前に水と親しめる環境作りが必要だと気付くことが大切である。
 そして都民、市民が海や川の水を見て触って感じる、手に届く水辺環境が、水質の改善のバックアップにもつながり、どういう環境が自分達にとって必要なのかを自治体等と一緒に参加して活動協力し意思表示をしていくべきだ、という結論になる。
では、コーディネイターは誰なのか?実働するには利害も絡むがそれを少しづつでも動くパワーを消してはいけない。(国土交通省・共催)

 普段何もなく平和な時は良いが、いざ強い台風、高潮、津波などに襲われるのはまさにこのウォーターフロントからで、大なり小なり被害は出る。
危機管理についてのコメントが抜きには語れないはずだ。そのための異常に高い堤防が存在しているが景観が悪かったり、水辺から人を引き離している。
水辺は楽しいところ、いざとなれば自然は牙をむき出す。そこをいかにクリアするのだろう?
 番外:シンポは同時通訳で行われた。日本語を話している時には英語を聞き、英語を話している時には日本語を聞いた。映画のサブタイトルもそうだけど、話していない事を通訳したり(原稿を読んでた?)、言ったことも訳さなかったり、そういう意味で結構面白かった。

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