ミシェル、引越しの日。

朝、ダウンタウンの本屋チャプターズの前でミシェル、ポーチンと待ち合わせる。
すぐそばのマックで朝食をとり、レンタカーショップへ行く。頼んでおいたトラックを借りる。
ちょっとドキドキでエンジンをかけ、彼女のアパートへと走り出す。トラックは大きくてシートが高く見晴がいい。しばらく走っていると、ポーチンが
「そろそろ僕と変わってよ。」さすが男の子。気付かなくてゴメン、あんまり気分良く運転できるものだから・・・
裏通りの住宅地に入っても道幅は広い。そこで、ちょっと車を右に寄せ運転席を降りる。嬉しそうにポーチンはハンドルを握る。
アパートでは荷物は大方まとめられ、すぐに荷物の運び出しが始まった。2階だったので、ベランダを利用した。
数回にわたって運び出し、最後の便に乗って新しいアパートへと移った。
そこは庭付きの2ldkわりと趣があり静かで落ち着いた所だ。自転車も庭から出入りできて便利だ。

9月1日夕方からそのアパートでパーティーがある。
バス停からそんなに遠くはなかったはずなのにそのアパートが見つからない。
アドレス帳を取り出してみればすぐに方角はわかる。もっと早く出して確認すればよかった。曇りの日には尚の事、記憶なんていい加減なもん。
やっとたどり着くと、部屋の中はいくらか片付いていた。
例によってお料理のリクエストがくる。それは幸恵流ポテトサラダお寿司。必要な材料を書き出して買い物を頼む。
その間に米をといだり、ジャガイモを電チンする。これが大騒ぎ。イモをポリ袋にいれてレンジに入れると台湾人の娘達は
「キャー怖い!破裂する~!」と、信じて疑わない。
何故、破裂するのか?理由を尋ねてみる。が、彼らに訳などない。袋物を電子レンジに入れてはいけません!唯、それだけ。
そして彼らに言った、「猫は入れちゃいけないけどね・・・。ま、見てなさい。」
私は平然と続けて、チン!!出来上がると心配そうに恐る恐る寄ってくる。ニコッとほら!大丈夫よ!今度、試してご覧なさいよ。

台湾の子達はやっぱり台湾料理。ピリッと辛くて旨いものを作る。自宅から持ってくる子、ここで作る子様々で、テーブルの上はあっというまにいっぱいになった。
部屋の中では主に中国語が飛び交う。4カ国の人種がいるけど、英語は稀にしかしゃべらない。そこで”english please !! and teach me chinese! ”
あはは、おほほと時の流れは早い。その時に教わった中国語、今ではもう殆んど忘れている。メイヨウチュンゴ。
ミシェルは私に疲れたでしょう?と泊っていくように言ってくれた。台湾や韓国の若い人達は皆、年配を尊敬し労わってくれる。それはカナダの何処にいても同じだった。
10時頃、クラウディアに電話で連絡が遅くなったのを詫び、泊っていく事を伝えると、それは良い事だ、と喜んでくれた。
暫くして、最終バスに乗るからと慌てて帰って行く子らを送り出した。

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