夜行列車でパリ

 
 シャモニ駅とさようならシャモニを出る前にパン、チーズ、生ハム、スモークドハムを買っていた。
それでサンドイッチを作り夕食にした。シャモニの生ハムはとっても美味しい。数ヶ月かけて塩漬けにされた肉を熟成させて作る。塊をみると表面は白くカビているが酵素が働いているのか独特の甘い香りがする。
 食事が済み、身支度を整え、ベッドに横になった。
列車の音が耳につく。耳栓はセットで付いているが、ゴトゴト音はする。
外のオレンジ色の光は微かに映って見えるような気がする。
ブラインドはしっかり遮光されているのに、ナーバスになっているのかもしれない。

しばらくすると、ジュネーブで停まり連結されていた車両は切り離されたようだった。何事もなかったように再び列車は動き出した。
その後、時間調整でもするように、静かにゆっくりと走り続けていた。単調な列車のゴトゴトの中にとろとろといつの間にか眠りに落ちていった。
薄明かりがかすかに見え始め夜が明けていった。

6時半頃Paris Austerlitz駅に着き、地下鉄を乗り継ぎPorte de Clichy駅からマンションまで歩いて帰った。
キッチンから朝日マダムはまだ寝ている。そうっと部屋に入り、横になるとあっという間に再び深い眠りについた。日も高くなるころやっと3人とも目が覚めた。その後のシャワーの気持良いことったらありゃしない。嗚呼、スッキリした。

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