正直言って、夏目漱石をちゃんと読むのは初めてです。
私の世代では漱石はもちろん、志賀直哉、谷崎潤一郎などはせっせと読んでいるのが常識だった。
ところが私は一般的な常識的な本はほとんど読んでいない。
子どもの頃はデュマばかりだったし、中学のころにはトルストイを夢中で読み、やがて太宰や梶井基次郎とか、八木重吉といった詩集も読んでいった。課題で出されたものは仕方がないからいくつか読んではいたが、記憶にない。
本棚に「こころ」や「三四郎」「ぼっちゃん」等が目に付き、何となく読んでみた。
あっという間に読み終えた。
そういえば、この中に出てくるパターンの人間が減ってきたと思う。
こうあらねばならない、こうありたいという、自分なりの信念を実施している人はどのくらいいるのだろうか?と余計なことを考えた。
余計な評論などは不要である事は承知しているから、こんな事をいう自分に恥を感じてしまう。
自分自身はどんな価値観を持ち、どう実行しているのか?
甚だ疑問ではあるが、命をかける意味、それを見る「こころ」とは・・・かなり難しいが、行き着くところ至極単純で、二進法の世界になっている。
あまり真面目に、完璧を追求してしまうと、死ぬしかない。
「私と先生とK」の心模様は手にとるように理解できる年になったのか、と思う。小説として面白く読めばそれでいいのかもしれない。
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解説というものは余り好きではないくせに、読んでみた。
ふぅーん、よくそういう風に言ってみたい文だな、結局解説になってないじゃない。と勝手に思った。