雨のモン・サン・ミッシェル

6月10日(木)
ホテルを出発する頃には、雨がポツポツ降り始めていた。
サン・マロの細い道をゆるゆると通り過ぎ、やっと城外へ出た。
 フランスの道路の交差点は殆んどがロータリーになっている。改めて車で移動をしてみて、走り方が違うのを実感する。嫁さんがナビゲーターでモン・サン・ミシェルをめざす。
パリの凱旋門を中心に道路は放射線状に延びているように、そこの中心的な場所から放射状に道が繋がっているので、単に方向感覚で移動すると、大変な遠回りになってしまう。
そこで、ナビがしっかりして、町と町を繋ぐ道をダイレクトに走ると最短距離でいけるのだ。
 走り始めて1時間半時間位でモン・サン・ミシェルを見る事ができた。本降りの雨があの雄大な姿をぼやけさせてしまっている。。モン・サン・ミシェル

 南側の広い駐車場から、傘をさしながら歩いて行き、門を潜って中に入っていくと、
ガイドブックそのままの狭い道路の両側にレストランや土産物店がびっしりと並んでいる。
 清水寺に通じる狭く細長い登り坂に似たイメージがした。
MSM沿道の店々
その道をどんどん登っていくとやがて修道院の入り口にたどり着いた。やっと屋根の下で雨をしのいだ。入場料を払い再び登っていくと、13世に建てられたラ・メルヴェーユにたどり着く。綺麗に整えられた中庭を備えた西棟、修道士の食堂等の東棟などの他、10~15世紀に渡る様々な建築様式の変遷を見る事ができる。
ラ・メルヴェーユ西棟の庭を望む ラ・メルヴェーユ東棟の庭を望む
 中世文明の忘れ形見と言われるモン・サン・ミシェルは世界遺産として有名だが、実物をみると成る程とうなずけるが、それだけに観光客がバスでどんどんとやってくる。
我々は朝一で来ているので入った頃はそれ程でもなかった客足が、本降りの雨にも関わらず帰る頃には、銀座通りになっていた。
モン・サン・ミシェルの周辺はヨーロッパ最大の潮の干満の差がある。最大15mというが、満ち潮の方が引き潮より強いため、運ばれてくる砂の量が運び去られる量より多く堆積されていく。したがって長い間に満ち引きのあった浜は引きっぱなしで塩分を含んだ土地と化して行く傾向がある。ここはそれが顕著で、モン・サン・ミシェルの周りには海水が満ちてくるという現象をはっきり見て取れなかった。
だだ広い沼地がどこまでも続いているという印象だった。
塩分を含んだ土地には普通は植物が生長しないけれど、ここでは塩に順応した塩生植物が生えているという。

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